氷の美女と冷血王子

その日の会議は、最初から荒れ気味だった。
不機嫌そうな顔をした副社長が、ことあるごとに文句を言っている。
こんな時には何かが起きる。
その予感は俺にもあった。
各担当部長からの報告が終わり、新しい事業計画の説明になったとき、

「ちょっと待ってください。何で今、このタイミングで新規の取引先の話が出てくるんですか?」

いきなり声を上げた副社長が真っ直ぐに俺の方を見ながら、配られた資料をパンッと机の上に放り投げた。

この会議には社長は出席していなかったため、この場の上席は副社長。
当然、皆声を上げることができない。

「専務、この事業計画は時期尚早です。考え直してください」
黙っている俺に、さらに詰め寄ってくる。

しかし俺だって、考えて考えて今がチャンスと思って出してきたんだ。
ここで引くわけにはいかない。

「お言葉ですが」

一旦立ち上がり、
フー。と息を1つついてから、俺は河野副社長の方を向いた。