私は現在、ある男を目の前にして固まっているーー。


その、男の手にあるものから目が離せなかった。

ーー虹色の飴玉。

ーー恋が叶う飴玉。


ずっと探し続けていた物が、今目の前にある。



「俺と勝負して。俺が勝ったら、キミは俺のもの。負けたらーーコレをあげる」



名前も知らない、見ず知らずの人。


なんで、そんな人が、私の一番求めている物を持っているのだろう。



「どうして......それをーー」


「それは、秘密。でも、キミが1番欲しいものだよね?片桐 凛さん?」



まるで、私の事なんてなんでも知っていると言うような口ぶりだ。


私は、この男の名前すら知らないのに、なぜ私の事を知っているのだろう。



「あ、あなたは誰?名前は?」



怪しすぎるこの男に、そう聞かずには居られない。



「俺は、瀬戸 拓海。ちなみに同い年」



同じクラスの人以外はあまり関わりがないので、知らないのも無理はない。