はぁ......、気が重い。


会いたいけれど、会いたくない。

行きたくないけれど、約束なので行くしか無かった。


重い足取りで向かった先は、いつもの空き教室。


ドアを開けると、今、1番会いたくない人が既に待っていた。



「遅かったな」



私は今から、この男に負けを告げられるんだ。

好きになってしまったのはもう後戻りできない。

勝てたらーー、私の手で飴を食べさせられたらーー。


思いが届くのに......。


だけど、飴は手に入らない。

どうすれば......。



「凛、勝負は俺の勝ちだな」



あぁ、終わったーー。


聞こえてきた拓海の声は、ハッキリと私の負けを口にした。


飴は、貰えないのか......。

でも、勝負は勝負。認めるしかない。

私は、拓海が誰に飴を食べさせるつもりなのか、気が気ではなかった。


1週間あったはずの勝負はたったの3日間で終わったーー。