演奏中は客席に入れないので、そのまま誰もいないロビーに行き、2人でベンチに座った。

相変わらず、奏先輩は私の手を握ったまま。


告白…

今なら、言える気がする。

「美音。」
「奏先輩。」

ほぼ同時にお互いを呼んだ。

「ん?」
「あ、奏先輩からどうぞ。」

私は、奏先輩に譲った。

「美音………
俺、美音のこと、好きだ。
今日の結果がどうであれ、これで終わりには
したくない。
俺と付き合ってください。」

え!?

驚いた私は、奏先輩を見つめ返す事しか出来ない。

「美音、俺じゃダメか?」

そう言われて、我に帰り、私は慌ててブンブンと首を横に振る。

「違うの。私も今、同じことを言おうと
思ってたから、びっくりして… 」

「え?」

「あの、奏先輩、好きです。
これからも私と一緒にいてください。」

奏先輩は、くしゃっと目を細めて、かわいい笑顔を見せた。

「じゃあ、これからもよろしくな。」

そう言って、奏先輩は私の手を握った手にぎゅっと力を込めた。