列に並んでる間も、奏先輩は手を握ったままで…

順番が来て、乗り込む時になって、ようやく離してくれた。

「キャーーーー!!」

思いっきり絶叫して、ジェットコースターを降りる。

「なんで?
小さい時はこんなに怖くなかったのに。」

私は呟く。

「小さい頃っていくつくらい?」

「多分、小学1年生か2年生くらい?」

私の答えを聞いて、奏先輩は笑う。

「くくっ
それ、多分、小さい子用のだよ。
あれみたいな。」

奏先輩が指差した先には、全然怖くなさそうなカラフルでかわいいジェットコースター。

「そうなのかなぁ。」

「だって、今乗ったのは、身長制限がある
から小さい子は乗れないし。」

「そうなの?
通りで怖いと思った。」

私がそう言うと、奏先輩はまた私の手を握った。

「え? あの、奏先輩?」

うろたえた私は、立ち止まって奏先輩を見る。

「昨日、森宮のお母さんに
頼まれたからな。」

「え?」

なんか頼んでた?

「方向音痴だからお願いしますって。
迷子になったら、お母さんに申し訳ない。」

奏先輩は笑って言う。

「なりません!」

いくら私でも、ついて行く事くらいはできるよ。

「いいの! 寒いし。」

そう言った奏先輩は、繋いだ私の手ごと奏先輩のコートのポケットに入れた。

え? 何これ?