電車とバスを乗り継いで、気づけば遊園地に着いていた。

冬の遊園地なのに、意外と混んでいてびっくりする。

みんな寒くても平気なのかな?

ま、私も平気だから、みんなそうか。

入場ゲートをくぐると、たくさんのアトラクションが周囲に見え隠れしている。

「森宮、どれ乗りたい?」

奏先輩が聞いてくれる。

「奏先輩は?」

私が聞き返すと、

「今日は森宮へのご褒美なんだから、森宮が
選んでいいよ。
いきなりジェットコースターに行くのか、
ゴーカートなのか、メリーゴーランド
みたいなゆったりしたのにするのか、
どんなのがいい?」

と言ってくれる。

「じゃあ、ジェットコースター!」

「了解。じゃあ、待ち時間が長くなる前に
急ごう!」

奏先輩はそう言うと、突然、私の手を握って走り出した。

え? 手…?

奏先輩は思いの外、早く走るので、私はついて行くだけで精一杯。

手を離すことも、質問することもできず、ただ奏先輩に手を引かれるまま、必死に走った。

列の最後尾に着くと、すでに20分待ちになっていた。

「悪い、森宮。
ちょっと急がせすぎたか?」

奏先輩は、はぁはぁと息を切らす私を見て言った。

「いえ、大丈夫です。」

それよりも、手!と思ったが、なんて言っていいのか分からない。