その後も、奏先輩は丁寧に勉強を教えてくれて、嫌いな勉強なのに、2時間はあっという間だった。

勉強を終わる時、奏先輩が言った。

「とりあえず、学年末だな。
頑張ったら、ご褒美、何がいいか
考えといて。」

「え、ご褒美!?」

そんなのあるの!?

「うん。コンサートでもいいし、遊園地でも
いいし、何か他に森宮の行きたいとこ、
やりたいことがあればそれでもいい。
頑張ったらご褒美だと思えば、頑張れる
だろ?」

「うん!
私、頑張ります!」

なんか、嬉しい〜!!

「くくっ
ほんと、森宮、尻尾をブンブン振って寄って
くる柴犬みたい。」

ぶぅ………

「また犬扱いですか?」

私が膨れると、またほっぺを突かれた。

「なんでむくれるかな。
かわいいって褒めてんのに。」

「か、かわっ!?」

どうしよう。

またキュンっていった。心臓が止まったかも。

ドキドキも止まらないし、どうすればいいの?

「森宮、真っ赤。
ほんと、お前、飽きないな。」

奏先輩は、私の頭をくしゃっと撫でながら立ち上がり、勉強道具の入ったサブバッグを手に部屋を出る。

私は慌てて追いかける。

階段の足音に気づいた母が玄関にやってきた。