あんなに・・・・あんなに優しい稜ちゃんの言葉。

もし相手がわたしじゃなくても、同じようなことを言うのかな?

なんて。

風邪と稜ちゃんにお熱だからなのかな。なんか、そんなことまで考えちゃう・・・・。


でもやっぱり、目の前の稜ちゃんにときめく気持ちが勝っちゃうんだよね。

今だけ・・・・この瞬間だけでいいから、稜ちゃんにわたしのことを気にかけていてもらいたい。

笹本先生のじゃなくて、わたしのデータブックで明日の作戦を立ててもらいたい。

そんな、わがままな自分がひょっこりと顔を出すんだ・・・・。


“サンキュー!”とデータブックをヒラヒラさせて帰っていく稜ちゃんを、わたしはゆでダコだろう顔で見送った。


はぁ〜、やっぱり好きだぁ・・・・。





それからはもう、わたしは熱を下げるのに必死になった。

浮き足立って階段を上って、少し冷めかけたお粥も残さず食べた。

風邪薬にも“明日こそは熱が下がってますように!”なんてお願いしたり。

36.8℃の微熱も案外いいかも、とか思ったり。