だって、毎度毎度、試合に出られるってわけでもないから。
うちの高校って。
去年の秋期大会のとき、どうしても調子が上がらなかった稜ちゃんは、1回だけ正捕手を他のメンバーに奪われたことがあった。
だからわたし、たとえ練習試合でも稜ちゃんが“試合”と名のつくものに出られることが自分のことのように嬉しいんだ。
よかったね、稜ちゃん!
笹本先生が次々とメンバーの名前を発表していく中、みんなの目を盗んで稜ちゃんをちら見。
稜ちゃんの横顔は、すごく満足そうだった。
自身に満ちあふれていて、調子がうなぎ登りだっていう顔。
「・・・・っと、以上でメンバーは終わりだ。1年生、ここのグラウンドでの試合だから、きっちり整備すること!」
「「「はいっ!」」」
何人もの1年生が緊張した声で返事をする。
「それからマネージャー!夏の地区予選のデータ集めも兼ねてるから、そこら辺、ぬかりなくな!」
「はいっ」
「はーい」
わたしと岡田君も、モチベーションの差はあったものの、笹本先生の言葉に返事をした。


