「じゃあみんな!少しこっちに集合してくれ!」
ランニングが終わる頃、顧問兼監督の笹本(ササモト)先生がわたしたちに集合をかけた。
たった今出張から戻ってきたらしい先生は、いつもの練習用のユニホームじゃなく、ビシッと決めたスーツ姿だった。
部員が集まると笹本先生は言う。
「みんな集合したな。じゃあ、今から日曜日の花北高校との練習試合のメンバーを発表する!」
そうだった!
恋にうつつを抜かしている場合じゃなかったよ!3日後にはライバル高との練習試合だった!
笹本先生のその声で、稜ちゃんたち選手もわたしたちマネージャーも、ピリッと気が引き締まった。
「ピッチャー、大森!」
「はいっ!」
「キャッチャー、長谷部!」
「はいっ!」
やった!
稜ちゃん試合に出られる!
稜ちゃんの名前が呼ばれると、ピリッと引きしまった気持ちも自然と緩んでいく。
それに気づいた岡田君は、わたしの背後から“フッ・・・・”とイヤミたらしく笑う。
でも、そんなこと、全然気にならなかった。


