白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
ん? でも待って。

なんだか聞き捨てならない発言がちらほらと・・・・。

どこまで地獄耳なんだか、わたしが鼻声になっていたからか、風邪っぴきになったことをまたまた目ざとく見つけた岡田君。

ヤカンをひっくり返したことまで見事お見通し。


「・・・・」


わたしはまた返事をしてあげないことにした。

ふんっ、違うもん!

昨日、髪を乾かさないで寝ちゃったせいだもん!

心で文句を言いながら、プイッとそっぽを向く。


「球磨きはいいから、今日はベンチでぼーっとしとけ!」


岡田君はそう言って、軽々と重いカゴを肩にかけた。


ほら、ね。

慰めることはいくらでもできる。

でも、一番辛いのは紛れもなく岡田君本人だから。

こういうふうに会話することで、岡田君と部員たちの間・わたしとの間も、お互いに気持ちいい関係として成り立つんだ。

何より、岡田君自身が望んでいないはずだから。


“かわいそうに”
“残念だったね”


腫れ物に触るみたいに、そういう目や態度で接されること・・・・。