白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
「お〜っはよ〜っ!今日も天気いいね、百合っ!」


校門をくぐりかかると、元気のいい声と一緒に背中を軽くトンと押された。

一番の親友・小堀梢(コホリ コズエ)ちゃんだった。


「おはよ、ココちゃん!」


梢ちゃんのあだ名は“ココ”。

1年生のときから同じクラスのわたしたちは、お互いを“百合”、“ココちゃん”と呼び合うんだ。

控えめな性格のわたしとは正反対の快活なココちゃん。

だけど妙に気が合って、入学初日から意気投合したんだ。


「あれっ? ・・・・百合、風邪でもひいた?」


下駄箱まで並んで歩きながら、ココちゃんが心配そうに聞く。


「うん・・・・ちょっと。昨日、髪を乾かさないで寝ちゃったみたい」

「気をつけなよ? 春でも夜は冷えるんだから」

「うん」

「野球部のマネージャー、百合しかいないんだからね?」

「分かってるよ」

「ならいいけどさ。辛くなったら遠慮しないで言うんだよ? 百合はいっつも我慢しちゃうんだから・・・・」

「うん。ありがと。ちゃんと言うね」