・・・・わたしはそんな中でそっと、キラキラ輝く青春の宝石箱に1つ鍵をかけた。

夏に開いた宝石箱は、もうそろそろ閉じてあげなきゃ。

これからは、違う宝石箱にいっぱい青春を詰め込んであげなきゃ。

詰め込みすぎて開けられなくなったら困るものね。

だからそっと鍵をかけたの。


でも・・・・。


「コ、ココちゃ〜ん・・・・ふぇ・・・・んっぐ・・・・グスッ・・・・」


ココちゃんと別れを惜しむ間だけは、まだ開けていてもいいよね?


「も〜・・・・泣き虫百合め〜・・・・」


春から離ればなれになるココちゃんとわたし。泣かないなんて、そんなの無理。

ココちゃんと2人、抱き合って思いっきりワンワン泣いた。


“もっと音楽の勉強がしたい”と死に物狂いで勉強して、難関で名高い音大に見事合格を果たしたココちゃん。

“稜ちゃんのサポートがしたい”とスポーツ栄養士の道に進むことを決めたわたし。

それぞれの夢のための別れだとしても、頭ではちゃんと分かっていても・・・・高校3年間の大親友との別れは、すごく悲しい。