あの熱い暑い夏の興奮から、約半年の時間が過ぎた───・・。


わたしたちは今日、たくさんの思い出が詰まった青雲高校を卒業する日を迎えた。

制服の胸には赤いリボン。

手には卒業証書。

目には大粒の涙・・・・。





「卒業生一同、起立」


司会の笹本先生が、声を奮わせながらわたしたちを促した。


「礼!」


そして、いくつになっても現役のスポーツマンらしい凛とした号令をかける。


「卒業生一同、退場」


・・・・あぁ、卒業しちゃった。

卒業式が終わっちゃった。


厳かな音楽が流れる体育館に静かに響く、みんなのすすり泣く涙の声の中を。

校長先生をはじめとする先生方、わたしたち卒業生の両親、在校生・・・・たくさんの人たちに見守られる中を。

わたしたちは、それぞれの新しい未来に向かって、大きくて小さな一歩を踏み出した。


1つの“終わり”から、また1つの“始まり”へ。

大切な大切な、長い人生の中で必ず誰もが踏み出す始まりの一歩。

それを一斉に踏み出した。