2日後───・・


“いいこと”の衝撃も冷めないまま、わたしたち青雲高校は甲子園の土を踏んだ。

20年ぶりの決勝戦で西ノ宮学園を下して来たここ───“甲子園”の土を踏んだ。

小さな頃に交わした約束、2人で四つ葉のクローバーに願った夢の舞台・甲子園。

高校最後の夏がここから始まる。


わたしの隣には、幼なじみで野球部のキャプテンで、わたしを愛してくれる愛しい愛しい稜ちゃんがいる。

稜ちゃんの隣には、幼なじみで野球部のマネージャーで、稜ちゃんを愛するわたしがいる。


甲子園球場の前に立ったとき、外壁を縦横無尽に張り巡らす青々とした蔦(ツタ)をみんなで見上げた。

この場所に来られたこと、この目で甲子園球場を見られたこと、稜ちゃんの隣で同じものを見たり感じたりできる喜びや感動・・・・。

今までのいろんな日々が頭に浮かんで、わたしの胸はうち震えた。

稜ちゃんが連れてきてくれた甲子園、ここでのわたしたちの最高の夏は、まだまだ終わらない。


終わりたくない。

終わらせたくない。

この夏だけは・・・・。