白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
わたしが気づかないうちに、稜ちゃんはこの場所を目指して走っていたんだ。

この夕日を見せるために連れてきてくれたんだ・・・・。


「本当は、夕日を見ながらゆっくり告白するつもりだったんだ」


稜ちゃんが照れくさそうに首の後ろを掻きながら言う。


「・・・・うそ?」

「ほんと。でも、どのタイミングで誘ったらいいか分かんなくて。そしたら部室に2人きりだろ?」


“絶好のタイミングだろ?”と、稜ちゃんはわたしに目配せ。


「そっか。だからか」

「うん。でもなぁ、まさか岡田たちがあそこにいるとは思わなかった。してやられた・・・・」


今度は苦笑いの稜ちゃん。

大きなため息をついて、カクンと首をうなだれた。


「ふふっ。確かに。次の部活は大変だろうね。冷やかされて部活どころじゃなくなっちゃうかも」

「確実だな」

「ね。そうだね」


照れくさそうに鼻をすする、そんな稜ちゃんが好き。

その笑顔が好き。

大好き。

オレンジの夕日もきれいだけど、稜ちゃんも同じくらいきれい。