白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
「・・・・えっ? 時間?」


何のことだか分からなくて、頭に“?”を浮かべながらわたしは聞き返した。


「いいから。とっておきのもんがあんだよ」

「・・・・う、うん」


まだよく状況が飲み込めないままに、わたしは差し出された稜ちゃんの手を取って歩きだした。





「わぁ・・・・きれい・・・・」

「だろ? ここから見える夕日は最高なんだ」

「うん」

「沈むときがきれいで、夏の間は日が長いから、特にな」

「そうなんだぁ・・・・」



───そう。


わたしたちが今見ている夕日は、7年前、2人で四つ葉のクローバーを探したあの場所からの夕日だった。

初めて稜ちゃんを“男の子”として意識するきっかけになった、少年野球チームの練習試合が行われた場所。


稜ちゃんに引っぱられるままに走ってきたから、周りの景色なんて見る余裕がなかった。

それに、止まったら止まったですごく息が苦しかったし、稜ちゃんに見つめられると稜ちゃん以外は何も見えなかった。

本当に、稜ちゃん以外は何も。