白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
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夏の夕暮れの中を走っていると、ふいに稜ちゃんがある場所で止まった。


「ハァハァ・・・・」

「ハァハァ・・・・」


だいぶ走ってきたから、2人とも息が弾んですぐには言葉が出てこない。

稜ちゃんのおでこにも、わたしのおでこにも、うっすらと汗が光っていた。


「あいつら・・・・ハァハァ・・・・あとで絶対、文句言ってやる」


息も切れ切れに稜ちゃんが言う。

かと思いきや、走って乱れたわたしの髪をそっと整える。


わたしは稜ちゃんの走るスピードについていくのが精一杯で、まだ声が出せない。

酸素を求めて、一生懸命に息をするだけ。


「速すぎた?」


なんて、いたずらな笑顔を向けて稜ちゃんが聞く。

・・・・悔しい。

もう普通に話せるなんて。


「ううん・・・・全然・・・・平気」


それがなんだか悔しくて、平気じゃないのに平気って言った。


「平気そうな顔じゃないけど?」

「そんなこと・・・・ないもん」