白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
腰が抜ける寸前のわたしの横で、いち早く正気に戻った稜ちゃんがそう耳打ちした。


「・・・・ふぇ?」

「いいから!」


ショックすぎてまともな口がきけないわたし・・・・。

そんなわたしの腕をぐいっ!と引いて、稜ちゃんはヤジが飛ぶ中をドアまでずんずん進む。


ヨタヨタ歩くわたしは放心状態。

何も考えられない・・・・。


「俺の彼女だから。手ぇ出したら許さねぇからな」


ドスの効いた声でドアの前に群がるみんなに稜ちゃんが言う。

そして、さらにヤジが飛ぶ中をわたしの手をギュッ!と握って走りだした。








2人で走って、走って。

校舎の前を突っ切って、グラウンドの横を突っ切って、校門を飛び出して・・・・。

そうやって走っていると、後ろからの冷やかす声もそのうち聞こえなくなった。

風を切る音、稜ちゃんとわたしのハァハァという息遣い、地面を蹴り上げる2つの靴音・・・・。

そういう音しか聞こえない。


心臓が踊っているのが分かる。

飛び跳ねているのが分かる。