でも・・・・。
こういうときに限って、背中に目があるんじゃないかと思うほど、稜ちゃんの視線を感じる・・・・。
ときどき稜ちゃんの視線を感じるのに、なかなか振り向けない自分がいた。
「なぁ・・・・」
びくっ!
稜ちゃんがたった一言を口にするだけで、全身に緊張が走る。
ドキ。
ドキ。
ドキドキ・・・・。
「な、なに?」
あぁ、ぎこちない聞き方・・・・。
試合のときとは違うドキドキが、わたしの体を駆け巡る。
まるで体中が心臓にでもなったようで、うまく言葉が出てくれなかった。
「・・・・サンキュ」
すると、そんなわたしに稜ちゃんはいきなりお礼を言う。
「・・・・へっ?」
びっくりして、わたしはマヌケな声と一緒に振り返ってしまった。
そこには、照れくさそうに頭をポリポリ掻きながら、わたしを見ている稜ちゃん・・・・。
視線が絡まる。
「あのホームランが打てたのは、お前のおかげだよ。ちゃんと聞こえてたんだ、あのとき・・・・」