それから、絶対に忘れちゃいけないことがもう一つ・・・・。
甲子園出場を賭けて戦った、西ノ宮のマネージャーの子。
彼女は同じ3年生で、名前を川崎葵(カワサキ アオイ)ちゃんと言った。
ココちゃんと折った千羽鶴を持って控え室に戻るとき、後ろから声をかけられて。
振り向くと、葵ちゃんも千羽鶴を持って立っていたんだ。
「はじめまして。西ノ宮の3年マネージャーの川崎葵です。甲子園おめでとうございます」
「は・・・・はじめまして。ありがとうございます」
葵ちゃんとわたしは、揃って長いことお辞儀をしていた。
それから少しして、ゆっくりと顔を上げた葵ちゃんは目にいっぱい涙を溜めて言ってくれたんだ。
「健闘を祈ってます。甲子園で勝てますように、この千羽鶴、どうぞ・・・・」
にっこりと微笑んで、自分たちの夢が詰まった千羽鶴をわたしに託して・・・・。
「ありがとう・・・・。精一杯頑張ってきます!」
「はい!」
2人で固い握手を交わして、葵ちゃんもわたしも泣きながら手を振って別れたんだ。