それからはわたし、一体どうしたんだろう・・・・。

何もかもがあまりにも鮮明で、刺激的で、感動的で、夢と現実の境目も分からないんだ。

ただ、目に焼き付いて離れないのは、泣きながらダイヤモンドを一周する稜ちゃんの姿・・・・。


稜ちゃんが打ったボール。

それは、サヨナラ勝ちを決めたホームランだった。

虹のように緩やかな曲線を描いて場外まで飛んでいった、特大のサヨナラアーチ。


その瞬間を見ていたわたしは、そのあとどうしたんだろう。

その場にうずくまって、声を上げて泣いたのかな?

それとも、夢に見ていたハイタッチを満面の笑みで稜ちゃんとしたのかな?

誰かと抱き合って喜んだのかな?

・・・・どうしたんだろうね、本当に覚えていないんだ、わたし。





全てが終わってみれば、決勝戦のスコアは【2―0】。

青雲高校が20年ぶりに甲子園への切符を手に入れた。


歓喜の涙を流す青雲。

ホームを踏んだ稜ちゃんに走り寄って抱きつくみんな。

溢れる涙を手で覆って男泣きをする笹本先生・・・・。