だから稜ちゃん、稜ちゃんは野球にだけ集中していて?

この試合に全力を捧げて?


「甲子園に連れてって」


そんなこと言わないよ、わたし。

自分の夢のために、同じ夢を持っているみんなのために、最後まで全力で戦って・・・・!



決勝の相手は、一昨年の優勝校・私立西ノ宮学園。

私立だけあって、野球推薦で他県から引き抜かれた粒ぞろいの選手たちがたくさんいる。

甲子園出場の常連校だったりもするんだ、西ノ宮学園って。

すごく強くて、勝つにはミスの1つだって許されない。


わたしたちが練習試合で対戦した花北高校や東高校は、それぞれ4回戦と3回戦で姿を消していた。

同じ夢を追いかけたこの2校のためにも・・・・。

わたしたちは負けたくないし、絶対に負けられない。


公立高校で勝ち残っているのは、もう青雲高校しかいないんだ。

お父さんの偏屈なところが似て、わたしには“私立には負けたくない”っていう意地があったりもしていて。


「この県で生まれた子どもたちだけで甲子園に行くのが筋ってもんだろ!」