白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
「じゃあ、競争!わたしと稜ちゃん、どっちが早く見つけられるか競争しよっ!」


稜ちゃんの笑顔にすっかり気をよくしたわたしはニコニコ笑顔。


「よしっ!百合ちゃんには絶対負けないからね!」


稜ちゃんも機嫌が直ったようで、ニコニコ笑顔。

そうしてわたしたちは、オレンジがかった光の中で熱心に四つ葉のクローバーを探しはじめた。


グラウンドの奥の草むらはいろんな花や草が生えていて、クローバーが密集して生えている場所がいくつかあった。

だから、四つ葉のクローバーがないなんておかしいもん!

わたしは一生懸命に探した。

稜ちゃんにドキドキしたことも忘れて、次からは絶対負けないようにって、一生懸命探したんだ。

探しながら時折稜ちゃんを見てみると、稜ちゃんも夢中で探しているみたいで、わたしの視線になんて気づかないくらいだった。


そして・・・・。


「あったよ、稜ちゃん!」

「僕もあったよ、百合ちゃん!」


だんだんと空が暗くなりはじめた頃、わたしたちは1枚ずつ四つ葉のクローバーを見つけた。