この試合に勝つことができれば、あと1回だけ、稜ちゃんたちが勝つことができれば・・・・。

小さな頃から夢に見てきた舞台、甲子園へ行ける。


大会が始まってからは、稜ちゃんとはほとんど会話をしていない。

試合を重ねるごとに緊張も疲れも増していく、まさにこれはサバイバルゲーム。

そんな中で、わたしの好きだのなんだのっていう感情を表に出すなんておこがましくて。

開会式の日、ココちゃんに見守られながらゴミと一緒に捨てたウジウジした気持ち・・・・。

その気持ちにはもう戻らないし、思い出さない。

わたしはそう決めたんだ。


稜ちゃんのほうも、試合の疲れを取ったり、対戦チームの戦略を考えたり・・・・。

すごく忙しそうにしていた。

大会の期間中はそれぞれがやるべきことをやる、試合にだけ集中する、そんな感じで過ごしていた。


“好き”


それを言うのは、この決勝が終わってから、高校最後の夏が終わってから・・・・。

そのときに、7年分の“好き”を込めて気持ちを伝えるんだ。

それから、あの雨の日のことと。