そんなわたしは、練習が終わって帰る頃、やっと今日が七夕だったことに気づいた。


「小さい頃はよく稜ちゃんと一緒に短冊飾ったなぁ・・・・」


一人きりの帰り道、うっすらと雲がかかる空を見上げながら、そんなことをつぶやいた。





あの頃の願い───・・


稜ちゃんは、毎年同じ願い事を書いていた。

“絶対甲子園で優勝する!”

そう書いていた。

ずっとずっと持ち続けている夢、今年こそ叶えないとね・・・・。


わたしは、その夢を応援することに幸せを感じていた。

“稜ちゃんが甲子園で優勝できますように!”

稜ちゃんの短冊の隣に、いつもわたしの短冊をぶら下げていた。


17歳になった今でも、稜ちゃんもわたしも同じ夢を見ている。

たくさんの時間が流れてきた中、その中でどんなに色や形が変わっても変わることなく持ち続けている夢。

わたし、雲が晴れてよく見えるようになった天の川にたくさんお願いしたんだ。

“どうか稜ちゃんの夢を叶えてくれますように・・・・”

そう、何度も何度も。