白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
試合のあと、わたしたちは一足先に帰ることになった。

稜ちゃんの試合のほかに、今日はわたしの誕生日でもあるんだ。

夜には稜ちゃんたちも呼んで、6人でわたしの誕生日パーティー。

パーティーしたら稜ちゃんの機嫌も直るかな? なんて。

帰り道で試合の感想を言い合う両親たちに挟まれながら、わたしの心はもうパーティーのことに切り替わっていた。





でも・・・・。

お昼を過ぎても夕方になっても、稜ちゃんは家に帰らなかった。

1つ大人になったくせに、稜ちゃんのお母さんに大人振って「いいよ」なんて言ったくせに、わたしはやっぱり子どもだった。

自分のパーティーに浮かれて、稜ちゃんの気持ちを考えてあげられなかったんだ。


どんな気持ちで今日の試合を戦っていたか、どうして負けたときみたいな顔をしていたか・・・・。

子どもで鈍感だったわたしは、お母さんと稜ちゃんのお母さんが話す声を聞くまで、家に帰っていないことさえ知らなかった。


ごめん、稜ちゃん。

でも、どんな誕生日プレゼントをもらうよりも嬉しかったよ。