それは、声。
野球技術の進歩も目覚ましいものがあったけど、去年と一番違った点はそこだった。
“よく声を掛け合うチームになっていたこと”
まさしくそれ。
いいプレーでもミスが出たプレーでも、東高のチームメイトは活気に溢れていた。
青雲高校もけして負けているわけじゃないんだ。
だけど、序盤はその変わり様に圧倒されてエラーも出したくらい。
本当に強いチームになった。
「前の東高じゃないみたい・・・・」
東高の「オオーッ!!」という雄叫びに一瞬たじろいだわたし。
そう声をもらせば、隣の岡田君が“フッ”と不敵な笑みをこぼす。
「今年はこいつらがサクッと甲子園行くんじゃね?」
と、たっぷりと心のこもった皮肉付きで返してくれる。
しかも、この前と同じで、笹本先生の真似をして腕組みしながら。
「はぁ、もういい・・・・」
いつも本気にしちゃうわたしは、そんな岡田君に“バカなこと言わないでよ”とそっぽを向く。
そうすると、彼の皮肉バロメーターはグインと上がるらしくて。