白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
「お母さん? お父さん・・・・?」


ふと気づくと、わたしの周りは知らない大人たちでごった返していた。

カップルや家族連れが、すごく楽しそうにわたしの横を通り過ぎていく。


ゴールデンウィークは、どこのレジャー施設もこんなもの。

普段はこんなに混むことも珍しいくらいの小さな水族館でも、溢れかえるほどの人ごみだった。


「稜ちゃぁ〜ん・・・・どこぉ?」


そんな中、わたしは半べそをかきながら必死でお父さんお母さん、稜ちゃんの姿を探した。


「どこにいるのよぉ〜・・・・」


でも、いくら見回しても見当たらなくて、半べそがいよいよ本泣きになってくる。


“来年はもうランドセルとお別れなんだからしっかりしなきゃ!”

“ちょっとはぐれたくらいで泣いちゃダメ!”

なんて自分に言い聞かせてはみたものの、それも、この人の多さに負けてしまった。


そんなとき、運悪く団体客の渦に飲み込まれてしまって・・・・。

今よりもさらにたくさんの人が目の前に押し寄せてきたんだ。


「あっ・・・・!」