ものの10分で部員たちは着替えて帰っていって、とうとう稜ちゃんを残して最後の部員が出てきた。
稜ちゃんはいつも1人で残って部活の日誌を書くから、帰るのは決まって一番最後なんだ。
「じゃあな〜!」と手を振って帰っていく部員を見送って、わたしは今度こそてるてる坊主を渡そうと部室のドアを押した。
ギィィ・・・・。
「あの、てるてる坊主、持ってきたんだけど・・・・」
そう言うと、稜ちゃんは日誌から目を上げて、わたしに視線を滑らせた。
「・・・・うん、サンキュ」
わたしが声をかけたことに少し驚いた様子だったけど、すぐに柔らかい表情になった稜ちゃん。
でもなんだか・・・・いつもと違う。
そんな気がする。
それでも、何もしないわけにもいかなくて、稜ちゃんが日誌を書き終わるまでの間、てるてる坊主を部室に吊そうと思い立った。
「こっちの窓に吊せばいい?」
「うん」
なんて妙に明るく言ってしまったけど、稜ちゃんはそうじゃなかった。
わたしが感じたことは、気のせいじゃなかった。


