白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
そんなわたしには、彼を傷つけない言葉なんて1つもなくて。

何に気をつけるのかよく分からないけど、そうしか言えなかった。


「“気をつける”か・・・・。今の俺には“ごめん”って言われるよりキツいな、それ」

「あ、ごめん」

「“ごめん”って言うなよ、もっとキツくなるし」

「ごめ───」










ぎゅっ・・・・。










もう1回“ごめん”と言いかけたとたん、強い力で腕を引っぱられた。

瞬きさえできないくらいの速いスピード。頭も体も、一体何が起きたのか状況が飲み込めなかった。


ただ、目の前にあるのは岡田君の胸元、そして、背中に回された彼の腕の感覚・・・・。

引き寄せる力とは反対に、その腕は優しくて弱々しかった。


「ごめん花森。1回だけでいいからこうしてみたかったんだ・・・・」


耳元で聞こえた岡田君の声は、今まで聞いてきたどの岡田君の声より違っていて・・・・。

切なくて悲しそうで、それに応えてあげられないわたしは何も言えなかった。