そんなわたしには、彼を傷つけない言葉なんて1つもなくて。
何に気をつけるのかよく分からないけど、そうしか言えなかった。
「“気をつける”か・・・・。今の俺には“ごめん”って言われるよりキツいな、それ」
「あ、ごめん」
「“ごめん”って言うなよ、もっとキツくなるし」
「ごめ───」
ぎゅっ・・・・。
もう1回“ごめん”と言いかけたとたん、強い力で腕を引っぱられた。
瞬きさえできないくらいの速いスピード。頭も体も、一体何が起きたのか状況が飲み込めなかった。
ただ、目の前にあるのは岡田君の胸元、そして、背中に回された彼の腕の感覚・・・・。
引き寄せる力とは反対に、その腕は優しくて弱々しかった。
「ごめん花森。1回だけでいいからこうしてみたかったんだ・・・・」
耳元で聞こえた岡田君の声は、今まで聞いてきたどの岡田君の声より違っていて・・・・。
切なくて悲しそうで、それに応えてあげられないわたしは何も言えなかった。


