白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
あっ・・・・!

思わずそう声に出してしまいそうになった。


「花森・・・・遅かったな」


だって、そこにいたのは岡田君だったから・・・・。

薄暗くなった部室で1人、椅子に座って壁にボールを打ちつけていたようだった。


「・・・・み、みんなは?」


動揺するわたし。


「雨が上がったから・・・・学校出て走ってる」


岡田君も動揺していた。

岡田君が取り損ねたボールがわたしの足元まで転がってきて、コロンと爪先で止まる。


「「あのっ・・・・」」

「「あ、そっちから・・・・どうぞ」」


わたしも岡田君も極度の動揺。

話し出すタイミングも言った台詞も、全く一緒だった。


なんだか気まずくなって、手持ちぶさたで拾ったボール。

それを、わたしは手の中でずっとコロコロ転がしていた。


1秒が何時間にも思えるくらい、何とも言えない空気がわたしと岡田君の間に漂う。

話題もないから、会話もほんの少ししか成り立たなかった。

この微妙な空気、どうにかしなきゃ・・・・。