白球と最後の夏~クローバーの約束~

 
「もう校門締まるから。マネージャーを待ってる間、見回りに来た先生に“あと10分で校門閉めるから”って言われて。今・・・・う〜んと、8分経過」


そう言うと、ズボンのポケットから携帯を出してわたしに見せた。


「・・・・じゃあ、おじゃまします」

「おぅ」


もうわたしに選択肢はなかったようで、結局、稜ちゃんの傘に入れてもらうことになった。

なかなか落ち着かない・・・・。


稜ちゃんの隣を歩けるなんて、一体どれくらいの女の子たちが夢に見ていることなんだろう・・・・。

わたしなんかが稜ちゃんの隣にいてもいいのかなって、そう思う。


「・・・・さっきから思ってたんだけどさ、────ねぇの?」


校門に向かいながら、そう聞く稜ちゃん。

わたしの歩幅に合わせて、いつもよりゆっくり歩いてくれている。

こういう小さな優しさも、わたしにとっては特大の優しさなんだ。


「えっ? なんて?」


聞き返すわたし。

バチバチと勢いよく傘に落ちる雨のせいで、稜ちゃんの声がうまく聞き取れなかったんだ。