「そう。何かあったら言えよ?大丈夫だから」
この人の大丈夫は落ち着く
言ってもいいかもしれない
大丈夫な気がする
「先生は、先天性無痛症って知ってますか?」
「ああ、ーーーーーーーーーーまさか!先天性無痛症、なのか?」
「はい」
「大丈夫だ。みんなのことを信じてみろ」
な?
と、付け足してから微笑んだ外科医の人
私が先天性無痛症と知ったら怖がるか、気持ち悪がるか、蔑むかしかなかったのに
こんな暖かく迎えてくれたのは初めてだ
「お父さんみたい」
「お父さん?」
「ん。今はどこにいるのかもわかんないけど、優しかったよ」
「そうか。じゃあ、これから俺は彩香にとって第2の父親になってやる」
「ホント!?フフッ··ありがとう!」
「おう!じゃあ、終わったから戻るか」
「うんっ!あ、名前は?」
「俺は御剣 愛斗ーミツルギ マナトーだ。よろしくな、彩香」
愛斗、か
「愛斗くんって呼んでもいい?」


