深夜23時52分。ふと我に帰り、部屋を見渡すと散乱した本に無造作に置かれたバッグ、何より身に付けているものは下着とタンクトップのみで世の男性はこれが23歳の女性だとは信じたくはないだろう。
オシャレには人並みに興味もあり、可愛らしいルームウェアも持ってはいるが、実際に一人でゴロゴロも過ごす際には決まってこの格好である。
毎週土日は会社が休みなので、出かける予定のない日は決まってアニメや漫画に明け暮れ、気がつけばこの有様、時間になっている。所謂、干物女と言うやつだ。
だが、人々の創作のおかげで毎日楽しく充実した生活を送っているので決して不満ばかりではない。今日は新しい漫画を読みその充実感に浸りながらそのままボーッとこの時間まで妄想をしてしまった。少しの虚無感に襲われるが、概ね満足はしている。
だが、やはりそれは概ねの言葉通り心から満足しているわけではないのである。

「彼氏欲しいー。ていうか、好きな人がほしいー。と言うよりもわたしのこと好きな人と出会いたい。」

誰も聞いていないのに。思わず項垂れながら呟いてしまう。
人とは強欲な生き物である。
充実感だけでは物足りず、より強い刺激がほしくなるのである。漫画を読んでいてもそれだけでは物足りず、妄想をし夢を見てしまうのだ。だが、決してそれは悪いことではない。夢を見ることこそが人の原動力になるのだ。何事も夢を見、目標を立て、それに向けて行動していくことで日々の充実に繋げられるのである。