狼の愛したお姫様



「母、さ…ん…」


そのナイフは横腹に掠り、俺の体からは血が噴き出した。



「ごめんね、ごめんね…っ」


なんでいつも、謝るんだよ。

…母さんは悪くないだろ。



「なんで……」


その手を伸ばしても届くことはなかった。





「母…さ……」



意識が朦朧としてる。

そんな意識の中で、最後に見えた景色は…










「ごめんね、愛してるわ。冬真───」






自分の腹部にナイフを突き立てる母親の姿だった。