狼の愛したお姫様



親父が会社をクビになってから、やがて一ヶ月が経つ。


「あなた、飲みすぎよ…」


その頃からだった。


「うるせぇ!お前は黙って働いてろ!」

「やめてっ、あなた…!」



仲の良かった夫婦に亀裂が入り、母親が暴力を受けている姿を見せられる。



「やめろよ親父!!」


その頃の俺に力なんてなくて、大人に適うはずもなく、ただただ母さんを庇って殴られる日々。




「お前は黙ってろ!!俺の苦労も知らねぇで!!」

なかなか仕事が決まらない親父は、ストレスでこうなってしまったのだと母さんは言ってたけど。






「なんで、笑ってられんだよ…」


それでも笑ってる母さんに、嫌気がさしていた。