狼の愛したお姫様



まぁいい。
小説でも読んで、なるべく視界にいれないようにしよう。


「お、おはようございます…」


恐る恐る部屋へ入ってきた女に軽く会釈をして、小説へとまた目線を落とした。

読んでれば話しかけないだろ、多分。





「…下行くのか。」

それなら好都合。
下にいるならアイツらがいるし、まぁ安心。






“叶望の事ちゃんと見てる?”


「……エスパーかよ。」


ちょうど来た遥からのメールにまたため息をつく。

でも遥が見てるわけじゃないし、嘘ついてもバレないだろ。