狼の愛したお姫様



『おい、今何処にいる。』


そんな事聞く必要ないくせに。

でも焦り方が異常で、様子がおかしい。



「………」


もし、何かしらの不具合でGPSが機能してないならこのまま。


このまま、ここから逃げないとこの人たちに迷惑がかかる。



「すぐに帰るから。」


そう言って一方的に電話を切った。





「あ、ちょっと待って!」


ベッドの横に置いてあったカバンを拾い、部屋を出ようとすると遥さんに腕を掴まれた。