狼の愛したお姫様



そうだ、この声はあの時助けてくれた…



「思い出した?僕は遥。君の名前教えてくれる?」


遥さんが手を差し伸べながら、笑顔で言う。

常に笑顔を絶やさないで、怜とは正反対の人だ。




「私は───」



その行為を、差し伸ばされた手を掴む事を許さないと言わんばかりに着信音が鳴る。




「…出ていいよ?」

なかなか電話を取らない私に、遠慮をしていると思ったのか遥さんは首を傾げた。