狼の愛したお姫様



「ん……」


右手が温かい。
僕はこの温かさを知ってる。



「起きた?」

「…ん。おはよ、叶望。」


夢かと思った。
でも、夢じゃなかった。



「よかった…」



抱きしめると相変わらず耳を真っ赤にする叶望がいる。

確かにこの体温を感じる。


ここに、叶望はいる。




「もう、何処にも行くな……」


振り絞った声で言うと、やっぱり叶望はまた僕の頭を撫でた。