「じゃ、契約成立だな。」

「うん、ありがとう…。」

「お前に礼言われる筋合いなんてないんだけど。」

「あ、そうか…。」


高山はまた目を伏せた。


それにしても、ホントひどいくま。

1年の時より、ずいぶん痩せた身体。

寝癖もひどいままだし、5月だと言うのに、
暑苦しいブレザーを着ている。


高山は1年生の時、かわいいと学年で有名だった。

別のクラスだったが、
実際見かけるたびに可愛いとは思っていたし、
明るい笑顔で悪印象はなかった。

スタイルもよかったし。


2年生になって同じクラスになり、いきなり4月
身内の不幸で不登校になったかと思えば、帰って
きたらこんな暗くて不健康な女になっていた。


正直関わるのは面倒だと思った。

でも、こんなことになって…


というか俺は一体何にビビってるんだ?


こんな弱々しい、なんなら何もしなくても
倒れそうな女に、威嚇する必要なんてない。


俺はスッと息を吸い込み、
高山を見下した。