私はポケットにしまっていたスマートフォンを取り出した。


「何?」


宮くんは不審そうに私を見つめる。


「これ聞いてもそんなこと言える?」


スマホに保存していた録音を再生させた。


『まぁ、バレたならもういいや。
めんどくさいし。』

『キャラ作り?
ただの処世術だよ。』


「な…お前、これ…」

「不眠症なめないでよね。
作戦練る時間なんて腐るほどあんの。」

「お前…いい性格してんじゃん。」


宮くんには今までの余裕がなくなっているようだった。

私を睨み付けると、舌打ちをした。


「もう一度言う。
このこと、
バラされたくなかったら協力して。」

「可愛げのねぇ女だな。」

「はいかいいえで答えてくれる?」

「くそ、わかったよ。
協力すりゃいいんだろ!」


よし!

そのとき、予想通りの時刻に他のクラスメイトが登校してきた。


「詳しい話はまたあとで。」

「チッ…」


宮くんはまた爽やかな笑顔を作り、
クラスメイトに挨拶をした。