「兄さん。もう卒業だね。」と奏悟が言ってくる。
「そうだな。」曖昧な返事しかできない。
「父さん来てくれると思う?」奏悟は和室を見た。
「さぁな。一応言ってある。」俺が言うと、奏悟は微妙な顔をした。
今は、夜の九時。3人はとっくに寝ている。
「ねぇ兄さん。」
「どうした?」
「本当に、仕事するの?」
「あぁ。だから、お前が進学しろよ。」
「…分かった。」奏悟はそう静かに頷いた。