「家庭の都合で…」
勧誘している先輩や同級生にそう断り、
鞄を持って走り出す。


入る部活はもう決めている。
兄貴の影響で小学校4年生のころに始めたサッカー部だ。
もちろん今日は練習がないことは朝のうちに小学生のころ同じサッカーチームで仲の良かった先輩に確認済みだ。


朝は1つもなかったはずなのに、
見上げた空には灰色の雲がいくつも浮かんでいた。


だからいつもはゆっくり歩いて通る桜並木を今日は走って通り抜けた。



無事雨が降る前に買い出しと夕飯の用意を終え、ソファーに座った。

今日は特別に浴室の掃除も念入りに済ませ、兄貴が返ってくるのを心待ちにしていた。