泡沫夢幻



ひよりは半年近くここで眠っている。

医師からは生きてるのが奇跡だと言われた。




「守れなくてごめんな、ひより」

毎日伝えてる気がするその言葉を今日もまた伝える。

守ると決めたのに、情けない。

どうやら人は自分のことで精一杯になってしまうと
本当に大切なものが見えなくなるらしい。


ひよりは俺以上に辛かったはずなのにな。
ごめん、と呟いてひよりの手を握ると
弱弱しくだが反応があった気がした。




「?っひより?!」
さっきより少しだけ強く手を握った。



「ん、、しゅ、んくん?」


「ひよりっ!」

確かにキミは目を覚まして
俺の名前を呼んだんだ。

ナースコールを急いで押して
すっかり顔見知りとなったひよりの主治医の先生と担当の看護師さんを呼ぶ。

「うん、異常はないみたいだ。
水瀬さん、おはよう」

主治医の先生がにこっとひよりに笑いかける。


「お、おは、ようございます、」

4ヶ月ぶりの目覚めで
4ヶ月ぶりに聞くひよりの声。

ぎこちない挨拶で返すひよりさえも愛おしくて今すぐにでも抱きつきたくなった。


いやもちろん今は先生も看護師さんもいるからちゃんと抑えたけどね。