泡沫夢幻



「奏さんのなのに…
涼さんに渡したはずなのに…
なんであんたが持ってんの…?」
目を丸くして声を潜めて首元を指す。

「え?奏?兄貴?涼って父さん?」
何がなんだかわからなくてそう聞き返すと

佐野さんは
「っ、、?!あとで話がある」
と何かに反応したように囁いた。


「え?」
「わかった!みんなで花火しよう!」

聞き返そうとしたのにまたもや失敗した。
先ほどまで声を潜めていたはずの佐野さんが
いつも通りの冷めた声ではなくて、いつもより2オクターブは高い声で(一言で言うなら陽菜に似たテンションで)そう提案した。

話し合いの末、結局海ではなくプールに行くことになり、手持ち花火をすることが決まった。

詳しいことを決めようとすると、
「陽菜ちゃん!ちょっと部活のことで聞きたいことあるんだけど!」
と陽菜が同じ部活の子から呼び出されどこかへ行ってしまった。

「私今日もう帰らなきゃ…」
水瀬が時計を見ながら名残惜しそうにそう呟いた。

「じゃあ詳しいことはまた今度決めよう!」
颯太の一言でお開きになった。


『5分後保健室に集合』
携帯を開くと佐野さんから数秒前にメッセージが来ていた。