泡沫夢幻



保健室の先生は私たちが保健室に入るや否や、「あら…大丈夫かしら?今から用事があって離れるんだけど、2人なら安心ね」と傷だらけの神崎さんを心配しつつも付き添いできた私たちを見て安心したように微笑み、「今朝職員会議あることをすっかり忘れてたのよ」なんて言って走って出て行った。

さすが彩音だ。きっと成績優秀で真面目な彩音のおかげでこんなにも無防備に保健室を任せられるんだ。

私はそう納得し、慣れた手つきで神崎さんの手当てをする彩音をじっと見つめていた。


彩音が一通りの手当てを終えると神崎さんは「ありがとう」と小さく呟いた。

そして全員が口を閉ざし、重たい空気が流れ込む。


そしてその沈黙を破ったのは彩音で。
「理子ちゃん、何があったの?
私で、私たちでよければ何か話さない?」
硬く閉ざされた神崎さんの心の扉をノックするように優しく、力強く、あたたかく………
隣で聞いていた私でもそう思ったほどだ。

そして、1限目のはじまりを告げるチャイムと同時に神崎さんは話しはじめた。