仁志は呆れた顔で救急セットを片付けて
私たちの方へ帰ってくる。
何十人もいるこの空間に沈黙が訪れる。
誰1人として喋ろうとしない。
皆、総長であるとしをじっと見ている。
「はぁ…ほんとばかみたい」
最初に沈黙を破ったのは神崎さんで、
さっきまで目に涙を浮かべていたはずなのに、いつの間にか乾いた真っ黒な瞳にうっすら笑みを浮かべていた。
「理子…彩音…すまん」
としはその場で頭を下げて暖かい目で真っ直ぐに彩音だけを見つめてこちらへ寄ってくる。
「とし…」
彩音は弱々しくそう言って左手を差し出した。
「彩音、ごめんな…
彩音を信じてる」
としはその手を取りぎゅっと自分の胸元に引き寄せた。



