泡沫夢幻



「とし、お前が何を守ろうが構わない。
どんな選択をしてもきっと皆お前について行くだろう。

だけど僕は、僕たちは彩音に支えられてここまで来た。
僕たちには太陽のような彩音が必要なんだ。

とし、そのくすんだ目に未来はあるか?」

そう訴えかける翼の目は希望に満ち溢れ、真っ直ぐとしを見ていて、

そして翼の左手にはぎゅっと彩音の右手が握られていた。

としは黙って翼を見つめ、動こうとしない。

そんなとしを急かすように翼は呟いた。

「僕の左手には今、希望の光がある。

そしてこの右手には
きっと………苦痛があるだろう」

行き場を失った右手をそっとおろした。